命名 平成25年10月

妹の名前は百合香というが、これはアルキメデスが入浴中に浮力の原理を用いて金と銀の合金と、純金の密度の違いを判定する方法を発見(*1)し、思わずユーリカと叫んで裸で往来に飛び出したという話に触発されたと名付け親の父は言う。森鴎外は自分の子どもたちに西洋的な名前をつけたが、少々変わり者の父は鴎外を意識していたかもしれない。そういえば劇作家の平田オリザの名前はラテン語の稲を意味するらしい。作家で初代文化庁長官の今日出海は渡仏した時に多いに困ったらしいが、それは仏語でコンは馬鹿の意味であるとのゆえ。昨今はキラキラネームという判読困難あるいは不可能な名前を散見するが、娘の通っている保育園にミケランジェロ君という名前を見つけ、日本もいよいよ亡国となりしかと嘆息したのであるが、よくよく聞いてみれば、彼は外国人であるとのことで一安心した。寛人と書いてカントという名の知人がいる。かの大哲人エマニュエル カントから名付けたかどうかは知らないが、英語表記にすればcuntとなり、英米人の前で彼の名前を呼ぶのは誠にもって具合がよろしくない。彼は自分がもてないのは名前のせいだと主張してはばからないが、もう何年も前に速水もこみちがブレイクしてからはその主張をしなくなったのは慶賀の至りである。
私はパンクロッカーで芥川賞作家の町田康が好きで、文体を真似してみました。恥ずかしながら、今まで宮沢賢治は読んだことがないので、これを機に読んでみようと思います。
ワタミ会長の渡邊美樹は両親の美由紀と秀樹から一文字づつ取って付けたらしいですが、私の場合は外国に行ったときに呼びやすいとか、昔そんな名前の俳優がいたからとか父は言ってました。しかし長男に美樹という名前をつけるとやはり変わってますね。 ありがとうございます、押忍。

*1正確に言うと金の王冠に銀が混ぜられているかどうかを調べるため。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。