かなり苦心惨憺した様子が窺えます(笑) 平成26年6月

セックスピストルズは正式なスタジオアルバムは一枚しか出していないのにもかかわらずベストアルバムが出ているという稀有なバンドである。
「pretty vacant」はシングルカットされ、ヒットもした。何人もの人間が訳詞をしている。しかしこの訳詞が揃いも揃って誤訳だらけである。

we are pretty vacant

「俺たち、イキに生きている
スゴく洒落てるぜ
空っぽだからな
俺たち、イキで、空っぽなのさ」M訳

「俺たちは素敵だ
かなりヌケてるけどな」A訳

vacantは形容詞だから、それにかかるprettyは副詞に決まっている。
we are pretty and vacant と歌っているわけではないのだ。だからこれは
「俺たちは全くの空虚だ」と歌っていることだと、真面目に英文法を勉強した高校生ならわかるだろう。
それに続く out to lunch も、ある人が「昼飯に行くぞ」と訳していた。確かに昼食で外出中という意味もあるのだが、ここでは「無能な」という意味だ。
Public Image Limitedに「low life」という曲がある。これを「ひどい人生だ」と訳しているが、「堕落した卑劣な人間」のことである。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。