「問ふ、歌は天下の政道をたすくる道也。いたづらにもてあそび物と思ふべからず。この故に古今の序に、この心みえたり。比義いかが」
答へて曰わく、
「非也。歌の本体、政治をたすくるためにもあらず。身をおさむる為にもあらず。ただ心に思ふことをいふより外なし。其内に政のたすけとなる歌もあるべし。又国家の害ともなるべし。身のわざはいともなるべし。みな其人の心により出で来る歌によるべし」
本居宣長 「あしわけをぶね」
芸術と国家の関係とは何か?本居宣長は芸術は国家の害となるものもある、と言っている。