先日一泊だけ帰省した。
実家は商売をしている。
帰る日に両親が店の前まで見送りに出てきた。母は骨折をして脚が悪い。それでもヨタヨタしながら二階から降りてきた。
別れぎわ、ななかが「ありがとうございました!」と大声で頭を下げた。それを見て、「ななか、よく言った」と嬉しかった。言葉に出して言えば涙声になるので、こらえながらしばらく歩いて振り返ると両親はまだこちらを見ている。ななかが今度は「おじいちゃん、おばあちゃん、さようなら!」と叫んだ。両親は涙ぐんでいた。私はさらに歯を食いしばらなければならなかった。
それでも、いつまでもいつまでもこちらを見ている。離れて住んでいる高齢の両親は今度はいつ会えるだろうかと断腸の思いなんだろう。駅まで口をへの字にして歩いた。