#95 ビルマの休日 その8 (リターンズ)

NO95 ビルマの休日 その8

at 2006 01/30 23:14 編集


「あの人、とても悪い人ですね。マフィアですね。気をつけてください。あなたにちょっと話あります。今晩六時にあなたのホテル行きますから待っていてください」
と言ってAは去っていった。自称大学生の男(ミャンマー人B。名前は秘す、っていうか忘れた)はすかさず、「あの男、知ってますよ。ここら辺では誰も知らない人はいません。最近まで刑務所に入っていました」と言う。
(お前ら、二人ともあやしいんじゃ~っ)
Bと別れてから、MTT(ミャンマー国営旅行社)に行って聞いてみる。
「チャイティヨーパゴダなら往復のタクシーをチャーターして、100ドルですよ」
思わず値切るのも忘れて予約した。
Aは六時きっかりにホテルに現われた。悪人なのに時間には正確だ。
「あの人、外国人を騙してお金とりますね。騙すところ見たことあります。とても悪い人ですね。ところで、昨日の話どうしますか。150ドルって言いましたけど、友だちに相談したら130にしてくれるそうです。日本人は友だちですから特別ですね」
Bも全く同じことを言っていた。この国には騙しのテクニック講座があって、同じレッスンを同じ教科書で学んでいるに違いない。
「ふ~ん、もし旅行会社に頼んだら、いくらになるの?」
「そうですねえ、日本のお金で二万円にはなると思います」
私はもちろん、その話を断った。その前にもう一万円を両替してもらった。
チャイティヨーパゴダというのは別名、ゴールデンロックといって、金箔を張りつけた巨大な岩が山頂の崖の端に落ちそうで落ちないという微妙なバランスで鎮座しているというミャンマー人が一生に一度はお詣りに行くパゴダである。行くつもりはなかったのに、何だか行くはめになってしまったのはこれも仏様の導きか。早朝六時にタクシーに乗り、五時間かかって山のふもとに到着。そこからトラックの荷台に五十人ほどのミャンマー人とすし詰めにされ、どこかにしがみついていなければ振り落とされるほどの急勾配&曲がりくねった山道を四十分かけて中腹に着いた。しかし、本当の苦行はここから始まるということを神ならぬ私は知る由もなかった。(続く

元(ハジメ)管理人の感想文と皆様への伝達事項

無意味に高い料金を提示してたり請求する人って多くいるようですしかなりいい加減な発言をする人もいますね。言葉の壁もあるし日本と海外では状況が違うから外国人が日本に来て仕事をしても何も分らずに文句を言う人もいて困ったりすることがあります。複数の会社が関わる駅前で仕事をすることになった外国人がいて上手に話すことが行えなかったのを体験したことがありました。「分ってないのが悪い。」と言いたい位です。
タクシーで片道5時間の旅行というものは余程でないと耐えられないと私は思います。
結局は、ガイド本等で予習してからでないと海外旅行には行かない方が良いようですね。この海外旅行記を参考にするのは避けておいた方が無難だと思います。どっちかというと情けないお話が多いのがその理由です。(笑)
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。