#8 クロントゥーイ市場 (リターンズ)

 私は市場やスーパーやコンビニやデパートに行くのが好きだ。行って何をするのかというと、生鮮食品や加工品や日用品を見るのである。見るだけで楽しいので、買い物はあまりしない。日本人が集まる「伊勢丹」や「フジ・スーパー」もいいが、私のお気に入りはスクンビット、ソイ5にある「フードランド」(ここにはカウンター方式のダイナーがあるが、午前2時、3時でもアラブ人や白人や黒人がメシを食っている。余計なお世話だが、体に悪いぞっ、とひとこと言いたくなる)、シーロム通りとラーマ4世通りの交差点にある「ロビンソン」、チャクラポン通りの「タングアセン・デパート」やその近くのワット・チャナソンクラムというお寺の向かいにある小さなコンビニ(店員は二人か三人の若い女性。いつもおしゃべりしている。あまりやる気なし)等だ。
バンコク市内には多くの市場がある。中華街のサンペーンレーンやアラブ人、インド人、黒人が多いプラトゥーナーム市場、インド人街のパフラット市場(ここにあるハンバーガーショップに入り、椅子に座ったら店員がヒンズー語のメニューを持ってきた。どうせ私はインド人並みに顔が濃いわよっ!キィーッ!)なんかが有名なのだが、私が一番好きでバンコク滞在中は必ず行くのがクロントゥーイ市場だ。
イメージ 1
(平成25年撮影)
この市場の周辺にはバンコク最大のスラムがあり、そこを通って市場に足を踏み入れると、初めて訪れた人は気分が悪くなるに違いない。なにせ、生臭さと汚物のにおいが入り混じっているし、鶏や魚の内臓が山と捨てられてるし、道はそういった汚物と泥とでぐちゃぐちゃになってるし、かつ、ゴミがあちこちに散乱しているからだ。神経質な人は行かんほうがいいだろう。ここには鶏や豚の頭や足や内臓、野菜、果物、魚、カエル、なまずカブトガニ、虫等、いろんな物が売られているが、私がこの市場に来るのはニワトリの屠殺を見るためだ。まず、ニワトリを釜で焚いた熱湯に放り込んで殺してから、分離器にかけて羽をむしり取る。それを半裸になった男たちが次々と包丁で解体していくのだ。私にとっては興味深い光景で、何時間見ていても飽きない。熱気と悪臭が充満するその解体場の傍らには市場の子供だろう、5歳くらいの女の子がすやすやと寝ているのだが、人間はどんな環境にも順応するんだなあと妙に納得する。
話は唐突に変わるが、モンゴルの遊牧民の生活をテレビで観たことがあった。ご承知のように、彼らにとって羊はなくてはならぬものである。何歳かになると、羊の解体を覚えなければならない。馬に乗ることと羊を捌くことができないとモンゴルでは生きていけないのだ。何人かの子供が羊を持った大人の周りを取り囲む。大人は神に祈りを捧げ、羊が苦しまないようにナイフで頸動脈を一気に掻き、大地に血を一滴も流さぬように捌いてゆく。子供たちは真剣な面持ちで眺めていて、私も神聖な儀式を観ているような気持ちになったな。で、思うんだが先進国では肉も魚も切り身になってスーパーで売られとるが、元の形を実際に見る機会は金輪際ない。うんこでも出した形状を観察すれば、それが今朝食べたものか前の晩に食べたもんかくらいは判別できるだろう。うんこなおもちて往生をとぐ、いわんや切り身をや。自分でも言ってることが全く分からんが、口にする動物の解体現場も観たことがないから食べ物を粗末にするんだっ! と私は言いたいのだ。反省しろっ、先進国の人間どもっ! なんてね、当のタイ人が食べ物を粗末にするんだもん。もう、ちょっと満腹になれば残す、残す。そんなもんすね、う~、脱力。
おまけにクロントゥーイ市場の脇に流れとる川は解体処理の水を汚物と一緒にそのまま流すもんだから、はっきり言ってヘドロ。川底からはブクブクとメタンガスが発生しとるよ。飛び込んだりしちゃったら即死だね、きっと。その上にプラスチックの弁当箱やビニール袋を平気で捨てるもんだから、環境保護団体なんかが見たら卒倒しちゃうね。地球に優しくないタイ人。でも私なんかそれを見たら何だか安心しちゃうんだけど、なぜだ?
でも、行ってみて損はしないと思うよ、クロントゥーイ市場。旅行代理店の人、ワット・ポーの寝釈迦像や水上マーケットもいいけど、ここもツアーに組み込んでみたらどうすかねえ。 
 元(ハジメ)管理人の感想文と皆様への伝達事項
 やっぱり、ドリアン長野はインド人と同じ位に濃い顔をしていますかね? 皆様には、文章を読んでもらってから即時確認してもらいました。(笑)
90年代から平成10年代のお気楽な時期のお話です。 従って平成20年代のようにインフルエンザウイルスが猛威を振るった時期ではありませんしタイランド国内での騒乱が深刻化発生した時期でもありません。
具体的には平成22年(2010年)五月19日に大規模なデモが発生しました。 こちらを参考にしてください。 
この火災の83日後にバンコク伊勢丹は営業再開を果たしました。ちょっと違うかもしれませんが、日本の消費不況の影響からか梅田の三越伊勢丹は事実上の撤退に至りルクア1100(イーレ)として来春(平成25年)に改装して開店する予定だそうです。
 今年(平成26年)に至っても、タイでは軍事クーデターが五月22日に発生しました
やはり、暴力とは無縁の法治国家を形成し平和な社会の維持継続は重要です。 従って、選挙が重要であって理不尽な占拠は不必要なのです。
 ご存知の方々も多いでしょうが何らかの海外旅行のツアーに参加しても現地(海外)に到着してから全てをキャンセルして行きたい町へ行く人もおられるそうです。 
海外旅行記を参考にされるのは自由ですが海外での行動は日本以上に責任が問われる可能性があるのでお気をつけて下さい。 端的にお伝えすると日本では合法であっても海外では違法な行いがございます。
ちなみに海外旅行につきものといえば、時差や外貨です。外貨はともかくとしても時差が存在しているから海外の現地時間で深夜においても食事をしている人々が多いのかもしれませんね。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。