#22 続 北京の床屋(リターンズ)

#22 続 北京の床屋(リターンズ)
2011-09-01 | Weblog
NO22 続 北京の床屋

at 2003 10/24 19:39 編集

 <前回のあらすじ>
 中国ってとこは人はやたらと多いし、言葉はあんまし通じないし、列には割り込むし、日本人だとボるし、ひまわりの種はあちこちに散らかすし、おまけに女までが(以下略)
 店内は清潔で明るく、従業員は男が一人、女が三人、そして男の客が一人いた。そのうちのソファーに座っていた女が立ち上がって椅子に座るようにと促した。営業時間を聞いたら、朝の8時から深夜の1時までだそうだ。なぜ一日17時間も営業してるんだ? 人民をそんな長時間も労働させていいのか? ますます怪しい。女はまず私の首に前掛けをし、洗髪台に頭を突っ込むようにと手振りで示した。その通りにすると女はいきなりシャンプーをし始めた。片言の英語ながら、いろいろと話しかけてくる。 (普通の理髪店に見せかけてるな。パチンコ屋が店内で出玉を換金すると賭博と見なされるから外に景品所を設置するように、これは当局を欺くためのカモフラージュに違いない) 
 シャンプーが終わると女は聞いてきた。 「マッサージはどう?」 (きたあーっ!) 「フェイス・マッサージもあるし、全身のもあるわよ」 「いっ、いくら?」 「100元(1元は約14円)」(高い) 私は考えこんで顔のマッサージを頼むことにした。顔だけなら安心だろう。 「それじゃあ、こっちへ」 なんと女は店内にある個室へと案内するではないか。ドアを閉め、二人っきりになる。広さは二畳ほどだ。 (やばい) 棚にはいろいろな乳液やらクリームやらが載っている。 (ますますやばい) 私はリクライニングの寝椅子に寝かされた。 (ドキドキ) 女は私の顔にクリームを塗り、マッサージを始めた。それが終わると先端が輪になった金属製の細い棒で顔を突いてきた。(ん?) あ~、気持ちええ。これは毛穴から脂を抜き取るためらしい。さすが中国式マッサージ。お肌がすべすべ。 「次は全身のマッサージしてみない?」 (きた、きた、今度こそきたあーっ!) 「あのお~、それってどんなマッサージ?」 「は?」 「だから、どういった類いのマッサージかな、と」 「言ってる意味が分からないわ」 
 ここでやめたらせっかく潜入した今までの苦労(なのか?)が水の泡だ。私は不本意ながら受けて立つことにした。さあ、殺せ。女は気合いを入れると、脚から腕から背中から、仰向けからうつ伏せにしたりと汗だくになりながら長い時間をかけて体中を揉んだ。サンダル履きで一日中歩いていたので足はまっ黒。女は一瞬ひるんでいた。終わると体力を使い果たしたのだろう、フラフラと奥へ引っ込んでいった。最後に若い男がハサミとバリカンで念入りにカット。ドライヤーをかけ、スプレーで仕上げ。終わった。1時を過ぎているのに年配の客が一人、入ってきた。(なぜ1時に髪を刈りに?)
 料金はマッサージが100元、シャンプーが100元、カットが50元。それを230元まで値切った。今回、多額の調査費を投じて私が得た物は中国式ヘアカットと、北京の床屋は健全な床屋だったという事実だ。諸君、北京に来たら安心して調髪してもらえよ。その前に料金はちゃんと聞いておくように。体はきれいだったが、お金もきれいになくなった。ふっ、私の思い過ごしだったようだな。疑って悪かったぜ。だけど中国人、ぼるなよおおおおお~っ!!(魂の叫び) しかし、中国はこれで終わるほどまだまだ甘くはなかった。(というわけで上海編につづく)
 
 元(ハジメ)管理人の感想文と皆様への伝達事項
 結論から言うと本人にとっては、期待外れであったのかもしれません。
 平成20年代のチャイナの理髪店の料金は全く知りませんが、この当時の価格だと日本と大差が無いかもしれませんね。日本国内でも安価な理髪店(美容院も含む)と高値の理髪店(同様に美容院も含む)が混在しているから何とも言い難いです。マッサージはいらないにしても、シャンプーとカットでチャイナでは150元で、1元が¥14だから、約¥2100? 最近、流行のシャンプー無しの¥1000カットの店と比べるのは論外かもしれません。それにしても繰り返すようですが金額的には大差が無いかもしれません。 日本の理髪店さんも店舗によっては、チョキチョキと髪の毛を切ってもらっている時に悲しくなる発言をしてしまう人もございますね。他の理髪店でお願いしたくなるキッカケかもしれません。
17時間労働の一件ですが、実際の所、日本国内の理髪店や美容院によっては閉店後、修行の場になっていて結局、一日の労働時間が長時間になっている理髪師や美容師もおられます。
 しかし、行列の横入りは嫌ですね。日本で行ったら、本当にケンカになってしまいます。 
 中国のお話は幾つもあるので今後も楽しみに待ってください。

 オマケ 
 先月に引き続いてチャイナ旅行記のリターンズです。
 これは、真夏の時期ではなくて過去(2010年以前の平成20年代初期のある寒い日)のお話です。ある美容院で防寒着を店内で着用させてくれなかった人物(当時、ある美容院の従業員)がいたので帰宅後、怒りのメールを彼の上司を兼ねた私の知り合いに送信しました。 それなりの返答があった後、不躾な行いをしでかした彼は後に退社した。 店の中では、冷静になって、後に運営している企業等に連絡するとそれなりの結果が得られます。 辛い艱難辛苦を乗り越えて真面目に勤務してやっと給料が得られるが、金の支払先では嫌な思いをせめて、日本国内では体験したくありません。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。