マラソン本 #2

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ラソン本 #2
日本振興銀行の経営破綻による混乱のさなか、代表執行役社長となった作家は、ふとしたきっかけで走り始める。五十代半ばを過ぎ、肉体は典型的メタボ、ストレス続きで精神的にもどん底だったが、走ることであらゆることが変わって行った。仲間との早朝練習、散々だった初マラソンから念願のサブフォー(4時間を切るタイム)達成、そしてさらなる自分への挑戦――震災を挟んで二年、マラソンによる予想外の変化をつづる感動的なランニング・エッセイ。
散々だった初フルマラソンというのはゴール直後、トイレに駆け込み、嘔吐と下痢で半死半生、誘ってくれた人に「なんでお金払ってこんな苦しい思いをしないといけないんですか」と恨み節、もう二度とマラソンなんかしないと決心したのに、翌日には走っていた。なんで?と思うだろうが、この感覚はランニングしている人なら首肯するだろう。
なにより感動的なのは、経営破綻の処理で連日連夜マスコミに追いかけられていた著者が鬱病気味になり、死んで楽になりたい、とまで思いつめ、いつ電車に飛び込んでもおかしくない精神状態だったのに、ランニングを始めて心身ともに健康になっていったことだ。
「仕事でも達成感は得られる。私だって原稿を書き終えた時、連載をやり遂げた時、達成感はある。しかしそれと、マラソンの達成感は別物なのだ。マラソンで得られるものは無償の、自分では何も求めない、自分自身の中から湧いて来る達成感なのだ。それはまるで、遭難して、命のことだけを考え、ようやく岸にたどり着いたときのような、何とも言えない心持ちなのだ。
やったぞ!
まだ、生きている。
俺、まだ頑張れる。」
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。