「愚行録」貫井徳郎原作
最初は「沈黙」を観に行こうかと思っていたのだが、ネットでこんな惹句を読んでしまった。
迷宮入りした一家惨殺事件──再び調査する週刊誌記者が迫る真相とは? 仕掛けられた3つのドンデン返しに、「あ然」「驚がく」「絶句」
おりしも今日が封切り初日、貫井徳郎は「慟哭」「迷宮遡行」「失踪症候群」「転生」を読んで面白かったので、かなり期待して観に行った。観客は30人ほど。この映画も「この世界の片隅に」と同様、口コミで拡がっていくタイプではないか。伏線を見逃さないように感覚を研ぎ澄ますように観る。人間のずるさ、醜さが徐々に浮かび上がってくる。後半の緊迫感は半端ではない。心拍数が上がる。どんでん返しは映像だからであろう、驚愕というほどではなかったが、真犯人は見事に予想を覆えされた。観終わって茫然自失、映像を何度も反芻する。事前に映画評を読んでいたので、週刊誌記者の兄(妻夫木聡)と娘を虐待して逮捕された妹(満島ひかり)が深い闇を抱えていることは予想できたが、重い、あまりにも重い。書物は図書館で借りるのが常套になっているのだが、何年か振りにすぐさま原作を購入したのだった。