貫井徳郎 平成29年二月

— ドリアン長野 (@duriannagano) 2017年2月18日 ">


「愚行録」貫井徳郎原作
最初は「沈黙」を観に行こうかと思っていたのだが、ネットでこんな惹句を読んでしまった。
迷宮入りした一家惨殺事件──再び調査する週刊誌記者が迫る真相とは? 仕掛けられた3つのドンデン返しに、「あ然」「驚がく」「絶句」
おりしも今日が封切り初日、貫井徳郎は「慟哭」「迷宮遡行」「失踪症候群」「転生」を読んで面白かったので、かなり期待して観に行った。観客は30人ほど。この映画も「この世界の片隅に」と同様、口コミで拡がっていくタイプではないか。伏線を見逃さないように感覚を研ぎ澄ますように観る。人間のずるさ、醜さが徐々に浮かび上がってくる。後半の緊迫感は半端ではない。心拍数が上がる。どんでん返しは映像だからであろう、驚愕というほどではなかったが、真犯人は見事に予想を覆えされた。観終わって茫然自失、映像を何度も反芻する。事前に映画評を読んでいたので、週刊誌記者の兄(妻夫木聡)と娘を虐待して逮捕された妹(満島ひかり)が深い闇を抱えていることは予想できたが、重い、あまりにも重い。書物は図書館で借りるのが常套になっているのだが、何年か振りにすぐさま原作を購入したのだった。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。