中西麻耶 平成29年7月

— ドリアン長野 (@duriannagano) 2017年7月7日 ">


中西麻耶は塗装工としての仕事中に5トンの鉄鋼が倒れてきて右足膝下を切断する。軟式テニスでインターハイに出場するほどテニスに打ちこんでいたが、断念。陸上に転向し、北京パラリンピックに出場。次のロンドンパラリンピックのための資金作りのためにある決断をする。しかしそのことで「障害を売り物にしている」と激しいバッシングを受けてしまう。元来中西麻耶は前向き、果敢、怖いもの知らずな性格であったが、やがて摂食障害過食症睡眠障害鬱病、果ては日本国籍を放棄する手前まで彼女を追いつめてしまう。
そして希望の見えた最終章にたどり着き、エピソード。
「わたし、金子さん(スポーツライターである著者)に嘘をついてました」
その告白を聞いて著者は激しい衝撃を受ける。中西麻耶が事故で失ったのは、右足だけではなかった。なぜ、彼女はあれほどひどい鬱になってしまったのか、すべてのことには理由があった。彼女自身がその理由を知ったのが事故の前日だったのだ。
スポーツを愛する人も愛さない人も、この本を手にとって中西麻耶という女性を知って欲しいという強い衝動に今、私は駆られている。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。