僕が高校生の時にセックスピストルズが現れた 平成30年四月


坂本龍一は14歳のときにドビュッシーを聴いて衝撃を受け、自分はドビュッシーの生まれ変わりじゃないかと思ったそうだ。つまり一番影響を受けたのでがドビュッシーだった。
この話を聞いたとき、その気持ちが痛いほどわかった。僕が高校生の時にセックスピストルズが現れた。当時渋谷陽一NHKのラジオ番組のDJをしていて、ピストルズ特集をかけた。BBCで放送禁止になったのでNHK内でかなり反対はあったのだが、渋谷陽一はその反対を押し切った。「ロックは時代そのものだ。その時代のロックをかけないのなら、ロックに何の意味がある?」
僕はラジカセにテープをスタンバイして番組を待った。
一曲目の「さらばベルリンの陽」を聴いたときの衝撃は初めてビートルズを聴いた人の衝撃と遜色はないだろう。
後年U2のボノが語っている。
「パンクは動脈硬化を起こして隘路にはまっている従来のロックを吹き飛ばしたんだ。まるでエクソシストだ、悪魔払いだったんだよ!」
17歳だった僕は毎日憑かれたようにカセットテープのピストルズを聴いた。聴かなければ眠れなかった。それから労働者階級とは何か、ロシア革命とは?トロツキーレーニン、ドフトエフスキーやニーチェランボー三島由紀夫、二二六事件の青年将校の手記、バタイユなどを濫読した。
坂本龍一にとってのドビュッシーが僕にとってはジョニーロットンだったのだ。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。