福知山駅で 平成26年1月

福知山駅で「大阪行き普通乗車券ください」と聞く。 「一番早い便は10分後に出ます。乗り換えなしの直行便があります」 よかったー。それで日頃頻尿で難儀している私は、 「その便にはトイレついてはりますか?」と安堵のあまり、思わず列車に敬語をつけて聞いた。  町田康のエッセイに「JRのアナウンスが『ただいま二番ホームに上り電車が参ります』と言うが、参る、というのは行く、来るの謙遜語であって、そのアナウンスを聞く度に、非人間的なスピードで疾走する巨大な列車が、謙遜しながら、もじもじホームに入ってくる姿が想像せられて、気色悪くてしようがない」という文言を思い出し、自分を恥じたのであるが、みどりの窓口のおねえさんは、 「はい、ついてはります」と平然と答えはったのであった。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。