#94 ビルマの休日 その7 (リターンズ)

NO94 ビルマの休日 その7

at 2006 01/26 23:13 編集

ミャンマー人は温厚で親切で素朴な人が多いと思う。道を尋ねた人が英語がわからなくても、わかる人をどこかから連れてきてくれるし、何かを買ってお釣りをごまかされたということもなかった。それでも人を騙してあぶく銭を稼ごうとするよからぬやつはどこの国にもいる。ミャンマーに着いた初日の夜に街を歩いていると日本語で声をかけられた。
「こんばんわー、日本人ですか? どこ行きますか?」
歩いていて日本語で声をかけてくるのはお金を騙しとろうというやつに決まっている。話に応じると、日本が大好きだ、日本に知り合いがいる等と言い出す。そして私は学生だとか教師をしていると言って、観光案内をしてあげると持ちかけ、最後に法外な報酬を要求するという古典的な手口である。他の国なら無視するのだが、ミャンマーということで少しだけ気を許した。
「僕は日本に恋人がいますね。日本、大好きです。明日はお正月ですから、たくさんの人がチャイティヨーパゴダにお参り行きますですね。僕の知り合いが車持ってますから案内しますよ。150ドルでどうですか」
その時はそいつの知り合いが日本円をドルに両替できるというので、一万円を換金してもらった。ミャンマーでは日本円を両替するのは難しいんである。
翌日、歩いていると別の男に声をかけられた。
「あなた、ビルマ人に似てますね。日本人ですか。ビルマ人かと思った」
今度は英語である。
「私は大学生です。どこに行きますか? 私の友だちが車を持っていますから、チャイティヨーパゴダに行きませんか。特別に150ドルで行ってくれますよ」
とてもわかりやすい。マニュアルそのままである。さすがに軍事政権では情報が制限されているので、手口も画一化している。こんなんで旅ずれした個人旅行者を騙すことができるんだろうか。
その男と歩いていると、昨日の男(ミャンマー人A 。名前は秘す、っていうか忘れた)と出会った。世界は狭い。
「ちょっと、ちょっと」
Aは私を脇道に呼んで聞いた。
「あの人、誰ですか」
なんだか自分が二股かけたプレイガールのような気がしてきた。(続く)
 元(ハジメ)管理人の感想文と皆様への伝達事項
結果が発表されてるが楽しみに思えてしまうような?テレビ番組の再放送を見て同じ様な思いをしたのを連想した読者もおられると思います。一応、すでに(平成18年)発表されてるお話なので続きをすぐにでも知りたい方はバックナンバーを閲覧してもらっても構いません。リターンズは過去と現在を比較する為に行ってるからです。今回はリターンズの説明が行えて良かったです。
色々とあって地球の歩き方等の旅のガイド本が人気がある点については否定が行えない人は多いでしょう。率直に伝えると不明瞭な人物との会話をする機会を減らせるからです。
一定の法規制は存在するようですが、日本銀行と取引がある外国であれば簡単に外貨に両替が行えるらしいです。だが全ての外貨の両替が行える訳ではなく日本円を外貨にすることが行えても外貨を日本円に両替する事が行えない場合もございます。各国ごとに外貨の両替の状況が違うので詳細は各自でお調べください。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。


 管理人マーキュリーマークからの伝言
 上記は、ドリアン長野が令和二年に投稿した内容です。
 令和六年にドリアン長野は親子でケアンズ旅行。