【なにわの地下鉄劇場】 令和二年十月


【なにわの地下鉄劇場】
「この前熊野古道のツアーに行ってん」

「うん」

「そんでバスの中退屈やからビデオかけるやろ」

「長旅やからなぁ」

「ビデオ流したらな、最近の映画って他の映画のコマーシャルが無茶苦茶長いねん」

「ふ〜ん」

「なかなか肝心の映画が始まらへんねん。せやから添乗員の兄ちゃんにな、」

「うん」

「兄ちゃん、スキップでけへんの?って聞いたら、兄ちゃん困った顔になってな、できますよ、言うて腰に手え当てて、そこでスキップしはってん」

くくっ、お、お腹痛い…

地下鉄劇場は今日も快調…

 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。