中島らもが友人とスナックで飲んでいたときのエッセイ。
一人の黒人が入ってきた。真っ黒というか漆黒というか、黒光りするほどの肌の黒さ。その黒人が出ていったあとに、
「真っ黒やったねえ」
「どこの国の人やろ?」
「ほんま、何人やろねえ」
カウンターで洗い物をしていたママさんがふっと顔を上げ、
「黒人ちゃいまっか」
私はヘラヘラとこのエッセイを読んでいたのだが、先日友人のKから「ライト兄弟って何人やったっけ❓」というメールが来た。Kは関西の有名私大出身のくせに無知である。私は「二人」と返信した。Kからすぐに返信。
「いや、だから何人❓」
は~、全く。
「兄弟だから二人だよ」
とあきれつつ返信してから気づいた。
「ごめん、アメリカ人」
ちなみに近江八幡市に本社があるメンタームで有名な近江兄弟社はキリスト教精神の「人類皆兄弟」から名づけられていて、兄弟ではないです。