彼女は18歳だった。 書評 君の膵臓をたべたい 住野 よる

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山内桜良(さくら)の葬儀でこの物語は始まる。(ゆえにネタバレではない)。彼女は18歳だった。
「僕」は彼女に質問する。
「君にとって、生きるっていうのは、どういうこと?」
「生きるっていうのはね。きっと誰かと心を通わせること。そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ。誰かを認める、誰かを好きになる、誰かと一緒にいて楽しい、誰かと一緒にいたら鬱陶しい、誰かと手をつなぐ、誰かとハグする、誰かとすれ違う。それが、生きる。自分たった一人じゃ、自分がいるって分からない。誰かを好きなのに誰かを嫌いな私、誰かと一緒にいて楽しいのに誰かと一緒にいて鬱陶しいと思う私、そういう人と私の関係が、他の人じゃない、私が生きてるってことだと思う。私の心があるのは、皆がいるから、私の体があるのは、皆が触ってくれるから。そうして形成された私は、今、生きている。まだ、ここに生きている。だから人が生きてることには意味があるんだよ。自分で選んで、君も私も、今ここで生きてるみたいに」
僕と君とは正反対の人間だと思っていた。しかし本当は僕と君とは合わせ鏡のようなものだったんだ。そして、……「君の膵臓を食べたい」
二度読んで二度とも泣いた。

 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。