彼は泣く子も黙るGHQに動じることなく、「米国は正義の国と聞いていたが、それは偽りであったか。無実の者に罪をかぶせて、恥ずかしくないのか。君らは神を信じるというが、その神に恥じることはないのか」と大喝する。
そこで思い出したのが、「integrity」という言葉だ。これは正直、誠実、高潔、そして完全性を表す。英語道を標榜された松本道弘先生は「彼はサムライだ」は He is a man of integrity. と訳すのだと言った。
彼は自分の名誉と、国岡商店の店主はそのような男であったと世間から言われる店員たちの心情を慮ったのだ。そして「侠気」というのは他人のために自分の損を顧みない心情のことだと思う、とある本で読んだ言葉を合わせて思い出した。