integrity

海賊とよばれた男」の中で石油会社「国岡商店」の店主に公職追放令が出される。理由を探ると全くの事実無根であった。心証を悪くするという周りの忠告を振り切り、彼は通訳を連れてGHQを訪ねる。
彼は泣く子も黙るGHQに動じることなく、「米国は正義の国と聞いていたが、それは偽りであったか。無実の者に罪をかぶせて、恥ずかしくないのか。君らは神を信じるというが、その神に恥じることはないのか」と大喝する。
そこで思い出したのが、「integrity」という言葉だ。これは正直、誠実、高潔、そして完全性を表す。英語道を標榜された松本道弘先生は「彼はサムライだ」は He is a man of integrity. と訳すのだと言った。
彼は自分の名誉と、国岡商店の店主はそのような男であったと世間から言われる店員たちの心情を慮ったのだ。そして「侠気」というのは他人のために自分の損を顧みない心情のことだと思う、とある本で読んだ言葉を合わせて思い出した。
 

 回顧を兼ねた書評
 僕の初海外旅行は26歳の時のインドだった。
 当時往復チケットは年末料金だったので30万した(泣)。
 行く前は椎名誠の「わしもインドで考えた」を熟読。
 インドでは尻の毛まで抜かれるほどぼったくられ、下痢と発熱で散々だったけど、
 それからはリーマンパッカーとして主にアジアをふらふら。
 アフリカは遠すぎて行けなかった。新婚旅行もバックパックでバンコクと香港へ。
 香港では雑居房のチョンキンマンションで二泊し、妻はぐったりしていた。
 バンコクでは安宿と高級ホテルと泊まり歩き、マリオットのプールで
 溺死しそうになったのは今ではいい思い出だ(嘘)。
 旅も好きだが、旅行記も好きだ。
 この本は主にアフリカ旅行のエッセイだが、面白い。
 何よりも文章がうまい。
 奥さんとのなりそめを綴った「追いかけてバルセロナ」なんか疾走感があり、
 一気に読め、感動的でさえある。
 朝の通勤の地下鉄で読んでたけど、日本にいながら気持ちはバックパッカー。
 旅の本もいいけど、また出かけたいなあ。